システムHの利用開始
ABCI-Q システムHアカウントの取得
システムHの利用申請
システムHを利用するためには、「ご利用の流れ」に掲載された利用規定(約款または規約)に従い、研究・開発テーマを決定し、ABCI-Q利用者ポータル から「システムH利用申請」を提出します。システムH申請受付担当は利用規定に基づいて審査し、要件が満たされている場合に、申請されたシステムHグループを作成し、申請者に採択された旨を通知します。申請者が通知を受け取ったら、利用開始となります。
利用料金は、料金表を確認の上、ABCIポイントを購入することで支払いいただきます。ABCIポイントはシステムHグループごとに購入してください。申請時には、ABCIポイントを 1,000ポイント以上購入する必要があります。
システムHアカウントの種類
システムHアカウントには、「利用責任者」「利用管理者」「利用者」の3種類があります。システムHを利用するには、「利用責任者」が ABCI-Q利用者ポータル から「利用グループ申請」を行い、システムHアカウントを取得する必要があります。 詳細は ABCI-Q利用者ポータルガイド を参照してください。
Note
- 「利用責任者」自身にもシステムHアカウントが発行されます。
- 「利用責任者」は ABCI-Q利用者ポータル にて「利用者」を「利用管理者」に変更することが可能です。
- 「利用責任者」と「利用管理者」は、システムHグループに「利用管理者」もしくは「利用者」を追加することが可能です。
- 「利用責任者」と「利用管理者」は、システムHグループの「利用責任者」を変更することが可能です。
システムHアカウントの一意性
原則として、1人の方は1つのシステムHアカウントを利用ください。例えば、会社で1つのシステムHアカウントを取得し、複数の社員が共有して使い回すことは認められません。 一方で1人の方が複数の法人に所属している場合は複数のシステムHアカウントを取得することができます。この場合、それぞれの法人に対応するシステムHアカウントを使い分ける必要があります。
複数のシステムHグループに所属する場合
1人の方が1つの法人の中で複数のテーマに同時に取り組んでいる場合、1人で複数のシステムHアカウントをそれぞれ取得するのではなく、1つのシステムHアカウントで複数のシステムHグループに所属することになります。この場合、その利用目的に応じてシステムHグループを使い分ける必要があります。どのシステムHグループを利用すべきか不明の場合は、システムHグループの「利用責任者」または「利用管理者」へお問い合わせください。自分が所属しているシステムHグループの「利用責任者」または「利用管理者」は、ABCI-Q利用者ポータル へログイン後の最初の画面に表示されます。
ご利用料金をどのシステムHグループが負担するかに関わるため、システムHグループの「利用責任者」または「利用管理者」の指示に従い、適切なシステムHグループを利用ください。
インタラクティブノードへの接続
システムHシステムのフロントエンドであるインタラクティブノード(計算ノード(H)向けホスト名: qes)に接続するには、二段階のSSH公開鍵認証による接続を行います。
- SSH公開鍵認証を用いてアクセスサーバ(ホスト名: qas.q.abci.ai)にログインして、ローカルPCとインタラクティブノードの間にSSHポートフォワーディングによるトンネリング(以下「SSHトンネル」という)を作成
- SSHトンネルを介して、SSH公開鍵認証を用いてインタラクティブノードにログイン
なお本章では、システムHのサーバ名は イタリック で表記します。
前提
インタラクティブノードに接続するには、以下が必要になります。
- SSHクライアント: Linux、macOSを含むUNIX系OS、Windows 10 version 1803 (April 2018 Update)以降など、ほとんどのPCには、デフォルトでSSHクライアントがインストールされています。インストールされているかどうかを確認するには、コマンドラインから
ssh
コマンドを実行してください。 - SSHプロトコルバージョン: SSHプロトコルバージョン2のみサポートしています。
- 安全なSSH公開鍵・秘密鍵ペアの生成: システムHで利用可能な鍵ペアは以下のとおりです。
- ECDSA鍵 (256bit、384bit、または521bit)
- Ed25519鍵
- SSH公開鍵の登録: ABCI-Q利用者ポータルにてSSH公開鍵の登録を事前に行ってください。登録方法は、SSH公開鍵の登録を参照してください。
Note
SSHクライアントとして、Tera TermやPuTTYを利用する場合は、Tera Termの利用、PuTTYの利用を参照。
SSHクライアントによるログイン
以下では、SSHクライアントを用いて、(1) アクセスサーバでSSHトンネルの作成後にインタラクティブノードにログインする方法と、(2) ProxyJumpを使ったより簡便なログイン方法、を説明します。
一般的なログイン方法
以下のコマンドでアクセスサーバ(qas.q.abci.ai)にログインし、SSHトンネルを作成します。
インタラクティブノード向け
[yourpc ~]$ ssh -i /path/identity_file -L 10022:qes:22 -l username qas.q.abci.ai
The authenticity of host 'qas.q.abci.ai' can't be established.
Are you sure you want to continue connecting (yes/no)? <- yesを入力
Enter passphrase for key '/path/identity_file': <- パスフレーズ入力
アクセスサーバへのログインが成功すると、ターミナル上に下記のメッセージが表示されます。
Welcome to ABCI-Q System H access server.
Please press any key if you disconnect this session.
Warning
上記状態で何らかのキーを入力するとSSH接続が切断されてしますので注意してください。
続いて、別のターミナルを起動し、SSHトンネルを用いてインタラクティブノードにログインします。
[yourpc ~]$ ssh -i /path/identity_file -p 10022 -l username localhost
The authenticity of host 'localhost' can't be established.
Are you sure you want to continue connecting (yes/no)? <- yesを入力
Enter passphrase for key '-i /path/identity_file': <- パスフレーズ入力
[username@qes01 ~]$
ProxyJumpの使用
ProxyJumpを使ったログイン方法を説明します。Windows Subsystem for Linux (WSL) やWindows標準の ssh(OpenSSH_for_Windows) でも同様のログイン方法が使えます。
まずローカルPCの$HOME/.ssh/config
に以下の記述を行います。
Host abciq
HostName qes
User username
ProxyJump %r@qas.q.abci.ai
IdentityFile /path/to/identity_file
HostKeyAlgorithms ssh-ed25519
Host qas.q.abci.ai
IdentityFile /path/to/identity_file
以降は、以下のコマンドのみでログインできます。
[yourpc ~]$ ssh abciq
インタラクティブノードへのファイル転送
ローカルPCとシステムH間でファイル転送をするには、scp
(sftp
)コマンドを利用します。この場合もSSHトンネルを介して行う必要があります。
SSHトンネルの設定後、以下のように実行します。
[yourpc ~]$ scp -i /path/identity_file -P 10022 local-file username@localhost:remote-dir
Enter passphrase for key: <- パスフレーズを入力
local-file 100% |***********************| file-size transfer-time
ProxyJumpが使える場合は、SSHトンネルを明示的に設定する必要はありません。
ProxyJumpの使用で説明したとおり$HOME/.ssh/config
の設定がしてあれば、直接scp
(sftp
)コマンドでファイル転送が行えます。
[yourpc ~]$ scp local-file abci:remote-dir
パスワード変更
システムHのパスワードはLDAPで管理されています。 SSHログインではパスワードは使用しませんが、
ABCI-Q利用者ポータルへのログイン、ログインシェルの変更の際にパスワードが必要になります。
パスワードを変更する場合は、passwd
コマンドを使用します。
[username@qes01 ~]$ passwd
Changing password for user username.
Current Password: <- 現在のパスワードを入力
New password: <- 新しいパスワードを入力
Retype new password: <- 新しいパスワードを再度入力
passwd: all authentication tokens updated successfully.
Warning
パスワード規約は以下の通りです。
- 15文字以上のランダムに並べた文字列を指定してください。例えばLinuxの辞書に登録されている単語は使用できません。文字をランダムに選ぶ方法として、パスワード作成用のソフトウェアを用いるなどして、自動的に生成することを推奨します。
- 英大文字[A-Z]、英小文字[a-z]、数字[0-9]、記号の4種類をすべて使用してください。
- 使用可能な記号は次の33種類です。 (空白) ! " # $ % & ' ( ) * + , - . / : ; < = > ? @ [ \ ] ^ _ ` { | } ~
- 全角文字は使用できません。
ログインシェル
システムHのデフォルトログインシェルは、bashが設定されています。
ログインシェルはchsh
コマンドを使用してtcshもしくはzshに変更することができます。
ログインシェルの変更は次回ログインから有効となります。また、ログインシェルの反映には10分程度時間がかかります。
$ chsh [options] <new_shell>
オプション | 説明 |
---|---|
-l | 利用可能なログインシェル一覧を表示する |
-s new_shell | ログインシェルをnew_shellに変更する |
例) ログインシェルを tcsh に変更する。
[username@qes01 ~]$ chsh -s /bin/tcsh
Password for username@ABCI.Q.LOCAL: <- パスワードを入力
SystemHへログインすると、システムHを利用するための環境設定が自動で設定されます。環境変数PATH
や環境変数LD_LIBRARY_PATH
等をカスタマイズする場合は、以下に示す個人用設定ファイルに設定してください。
ログインシェル | 個人用設定ファイル |
---|---|
bash | $HOME/.bash_profile |
tcsh | $HOME/.cshrc |
zsh | $HOME/.zshrc |
Warning
設定ファイルに環境変数PATH
にパスを追加する際は、環境変数PATH
の最後に追加してください。先頭に追加した場合、システムを正常に使用できなくなる恐れがあります。
個人用設定ファイルのオリジナル(雛形)は/etc/skel
配下に格納しています。
ABCIポイントの確認
ABCIポイントの使用状況と購入数を確認するには、show_point
コマンドを利用します。
ABCIポイント消費率が100%を超える見込みの場合、新規ジョブ投入が行えず、投入済みジョブは実行開始時にエラーになります(実行中ジョブは影響を受けません)。
例) ABCIポイントを確認する。
[username@qes01 ~]$ show_point
Group Disk S3 Used Point Used%
gaa50001 200 50 100,000.0000 200,000 50%
`- aaa00001 - - 50,000.0000 - 25%
gaa50002 100 10 100,000.0000 200,000 50%
`- aaa00001 - - 50,000.0000 - 25%
項目 | 説明 |
---|---|
Group | システムH利用グループ名 |
Disk | グループ領域割当量(TB) |
S3 | クラウドストレージの ABCIポイント使用量 |
Used | ABCIポイント使用量 |
Point | ABCIポイント購入量 |
Used% | ABCIポイント消費率 |
月ごとのABCIポイントの使用状況を確認するには、show_point_history
コマンドを利用します。
例) ABCIポイントの月単位の使用状況を確認する。
[username@qes01 ~]$ show_point_history -g grpname
Apr May … Mar Total
Disk 7.0000 10.0000 110.0000 660.0000
S3 0.0000 0.9750 0.2205 4.41
Job 9.0000 10.0000 110.0000 220.0000
`-aaa00001 2.0000 5.0000 27.5000 65.0000
Total 20.0000 20.0000 220.0000 880.4410
項目 | 説明 |
---|---|
Disk | グループ領域のABCIポイント使用量 |
S3 | クラウドストレージの ABCIポイント使用量 |
Job | グループ所属全ユーザのOn-demand、Spot、ReservedサービスでのABCIポイント使用量の合計値 |
Total(行) | Disk、CloudStorage、JobでのABCIポイント使用量の合計値 |
Note
- ジョブサービスのABCIポイント使用の計算については、課金を参照してください。
- On-demandおよびSpotサービスのジョブ実行から終了の間に月を跨ぐ場合、当該ジョブのポイント使用量は全てジョブを投入した月にてカウントします。ジョブ終了後の返却処理も、ジョブを投入した月の使用ポイントに対して実施されます。
- Reservedサービスの使用ポイントは、予約を作成した月にカウントします。予約を取り消した場合、予約を作成した月の使用ポイントから当該予約分のポイントが削減されます。
ディスククォータの確認
ホーム領域およびグループ領域の使用状況と割り当て量を表示するには、
show_quota
コマンドを利用します。
例) ディスクおよびinodeクォータを確認する。
[username@qes01 ~]$ show_quota
Disk quotas for user aaa00001
Directory used(GiB) limit(GiB) used(nfiles) limit(nfiles)
/home 50 200 100,000 -
Disk quotas for group gaa50001 gaa50002
Directory used(GiB) limit(GiB) used(nfiles) limit(nfiles)
/groups/gxa50001 14,000 204,800 2,000,000 200,000,000
/groups/gaa50002 51,000 102,400 6,300,000 200,000,000
S3 Disk quotas for group gaa50001 gaa50002
Directory used(GiB) limit(GiB) used(nfiles) limit(nfiles)
/groups_s3/gxa50001 1,000 102,400 100,000 200,000,000
/groups_s3/gaa50002 1,500 102,400 300,000 200,000,000
項目 | 説明 |
---|---|
Directory | 領域種別 |
used(GiB) | ディスク使用量 |
limit(GiB) | ディスク上限値 |
used(nfiles) | inode使用数 |
limit(nfiles) | inode数上限値 |
なお、inode数上限値の欄に "-" が表示されている場合、inode使用数に制限はありません。 また、ディスク使用量がディスク上限値を超えている場合、ディスク使用量の欄に"*"が表示されます。
inode使用数がinode数上限値を超過している、またはディスク使用量がディスク上限値を超過している場合、新規ファイル・ディレクトリの作成に失敗します。
[username@qes01 ~]$ touch quota_test
touch: cannot touch 'quota_test': Disk quota exceeded